Sunday, January 03, 2010

天蓋のオリフィス

天蓋のオリフィス



written by Shing02
produced by Eccy

全知全能のその存在は自らの 形になぞらえてひとを造った
無尽の次元が叶えた幽玄の夢 不老不死から無知無能、何故
込めた祈り 砂時計の命 一粒ずつにも星屑の名残
淡い光が進化するよう 組み込まれたきめ細かな機能
記憶する度 賢くなる証 残して然るべき理を永久に
運ぶ遺伝子 古の箱舟 雲の涙が海の量に成り
浮かぶ球体 形而下の集大成 最高傑作と呼ぶに相応しく
再生回数ぶっちぎりの組織 細胞同士の会話とおぼしき
やり取りの間に宿った自由意思 本能の陰から芽生えた種子
自我が目覚め始めての欲 生き残るすべを残す、色濃く
壁の面 動く姿 水に映る像 透き通る素肌
つまり身も心も裸の儘 母から生まれし男と女
悦びの声 峠を超え 木霊する谷 密かな住処に
茂る緑に成る実を採り 恵み豊かな川の畔り
斯くして、無垢な群れは栄えた 代々耐えて生き永らえた
炎を囲み太鼓を叩いた 何故か懐かしい星を讃えた

火を操り 闇に学び 紐で綾取り 絵と文字は同じ
肌は露 あるまじき姿 亜麻の衣で隠した腰と肩
夜明けの訪れる足跡は 無くも足跡なら谷を後にしたぞ
と聞いて追った者は終ぞ戻らず そしてその噂が憶測と化す
光と影矢の如し その威勢は飛ぶ鳥落とし
星の図を頼りに島々を目指し 風の押しになびく帆と旗
目立つ印 象に乗る主 一人歩きする共同体
道具が更に生む便利を知り 群れは村となり
土地を統べる者が長となり 
之より人は人の上に 立つことで下にお達しを出し
演奏も戦争も指揮者による 旋律覚えれば酔いの虜
鏡の奴隷、繋がれた踊り子 知恵の塔、鍵要らず悪戯に
増える記録、ひたすら黒く 染まる紙欲しがる程遠退く
富を集めても天には届かずと 死に際に子に言葉遺し
大衆の力を見縊るべからず 侮れば全てを失う、必ず
玉座から世を見下ろすため 現人の神と改めるため
人は自らの形になぞらえ 全知全能の存在を造った